世界中を旅した経験から、本当に美味しいと思える料理やベストな提供のしかたを研究してきたという岡田シェフ。とくに発酵食品とレア食材を使ったオリジナルメニューは、料理は、何度でも食べたいと思わせる魅力に満ちあふれています。そんな岡田シェフに、料理への思いを語っていただきました。
Q. 簡単なご経歴を教えてください。
21歳の時に大阪で店を開き、2号店を開店するほど順調だったのですが、忙しすぎて体を壊してしまいました。そこで後輩に店を譲り、そのお金で世界各国食べ歩きの旅に出たんです。1年間さまざまな国の料理を体験した後、究極の飲食店を目指してオーベルジュのようなゲストハウスをオープンしました。さらに食×IT分野の仕事も手がけるようになりました。たとえば、味付けに特化した調理家電の研究などです。JAXA(宇宙航空研究開発機構)も興味を持ってくださって、月面で利用可能な調味料プリンターの開発に参画しております。そういった活動を通して投資家の方にお声がけをいただいて、そのご縁でGreen Diningに参加することになりました。
Q. 得意なジャンルの料理は?
発酵食材とレア食材を使った料理です。世界各地を巡って自分が本当に美味しいと思った料理の作りかたを現地で教わったり、発酵食材と掛け合わせて自分なりに再構築したりと、僕にしか作れない料理を目指しています。「ほかでは味わえない料理」という意味では、Green Diningの主旨と相性が良いのではないでしょうか。
Q. レア食材とは、具体的にどのようなものですか。
たとえばハーブならボルトジンユ(「奇跡の薬草」の別名もあるハーブ)といった一般的には名前すら知られていないような食材です。沖縄で無農薬栽培をしている農家や、世界の珍しい農作物を育成している北海道の農場など、さまざまなご縁で知り合った方々から食材を仕入れています。もちろん、予算や収穫時期によって、思うような食材が使えないこともあります。そういう場合は、発酵がひとつの突破口になるんです。
Q. 発酵についても詳しく教えてください。
生の食材はすぐ腐ってしまいますが、発酵させることで賞味期限を飛躍的に伸ばすことができるんです。廃棄寸前の完熟食べ頃な食材を使った発酵食品が、つねに僕のキッチンに保存してあるので、お客様のご希望にあわせて使っています。手間もかかるし保存場所もとりますが、生とはまた違った味わいが楽しめる上に廃棄食材も減らせるなど、いいことずくめです。
Q. 好評メニューをご紹介いただけますか。
「お刺身サーモンとマスカルポーネチーズ」は、自家製のひしお麹を使っています。マスカルポーネも発酵食品なので、非常に相性がいいのです。お刺身は時間が経つと表面が乾いてしまい、悪くなっているのではという思いからなかなか手が伸ばせない事もありますが、ひしお麹を塗ることで安心して美味しく食べていただけます。
「森林鶏の瞬間燻製 2種のソース」は、塩麹に漬け込んだ森林鶏の胸肉を低温調理して、柔らかくジューシーに味わえるよう工夫しています。ブランド鶏であっても、胸肉はリーズナブルにご提供できます。薫香がいいスパイスになってお酒も進むのではないでしょうか。
大豆を使った「ZEN MEATとグリーンリーフのプチライスボール」は、ベジタリアンの方にも好評です。大豆ミートは肉の代替食品ではありますが、だからといって「美味しくない」と感じてほしくないのです。そのため、タイから生の香草を輸入し、口に入れた瞬間に、ふわっと香りを感じてもらえる料理に仕上げています。
Q. 料理をする上で一番大切にしていることは?
なによりも大切なのは、美味しいことです。なおかつ、ほかのシェフには作れない特別感のある料理ということも重要視しています。パーティー料理やケータリング料理は、見た目は華やかでも味はそれほどでもないと思っている方がいらっしゃいますが、そういう認識を変えたいんです。できるだけ美味しく食べてもらうため、瞬間燻製した料理にガラスポットを被せておき、開けた瞬間に薫香を感じさせて食欲をそそるといった演出も行っています。
Q. 「店舗に属さない新しい働き方」をGreen Diningで行ってみてどうですか?
今までの経験では交わることのなかったチャネルの方々と出会えることがとても楽しいです。お客様のさまざまなご要望を聞いて、料理への反応を見たりすることが勉強になりますし、最終的に喜んでもらえれば自信にも繋がります。
パーティーで人が集まる場所では、並べられた料理によってコミュニケーションが円滑になることが多々あります。そこで生まれたご縁によって、人生が変わってくることもあるでしょう。僕の料理が人と人との出会いに華を添えることができたら嬉しいですね。その機会をいただけることが、僕にとって一番の収穫です。
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